百貨店受付嬢の一日

タヌキのシッポ
スポンサーリンク

百貨店で商品を売らないお仕事、受付
受付嬢、インフォメーションなどと呼ばれることもあります。

彼女たちは、一日中インフォメーションカウンターで待機しているわけではありません。
実際にはどんな人たちがどのように働いているのでしょうか。

あまり具体的には知られてないと思います。
もちろん、店舗によって業務内容は異なります。
例えば、館内放送は近くの百貨店はインフォメーションカウンターで行っていましたが、私が勤務していた百貨店では別の部署が担っていました。

私が勤務した百貨店は本店ではなく、どちらかといと地域密着型の百貨店でした。
ここでは、某百貨店にて店内案内として勤務した私自身の経験を通して、その仕事内容の一例をご紹介します。

多岐にわたる業務内容

主な仕事は店内のご案内です。
しかし、それだけに留まらず見えないところで様々な業務に従事しています。

仕事内容

店内案内

店内のご案内が基本のお仕事です。

基本的には、ショップや商品の取り扱いや場所の説明です。
働いてから驚いたのは、かなりアナログだということ。それらの情報は全て頭の中です。

在庫確認等、細かな質問には売り場に内戦で確認をしますが、ほとんどの問い合わせに対しては自分が頼りです。覚える量は莫大なので、最初は苦労しました。

また、お客様が間違えやすいブランド名や特徴だけで問い合わせてくる場合がありますが、同じ間違えの方は多々いるので「間違えたブランド名」「商品の特徴」までも把握していました。

周辺案内

お客様の問い合わせは、お店の外にまで及びます。

他店のことを聞かれることもあるので、他店の基本情報も頭に入れておきます。
当店にお客様が求める商品がなく、他店にあることが分かっている場合はそちらをご案内します。

聞いたこともないようなマイナーなビル名を聞かれることもありました。
インフォメーションカウンターには色々な資料が揃っています。周辺の地図も用意してあったので、それで対応していました。多忙ではなく、近くであれば見えるところまでご案内することも。

パンフレット補充

エレベーター脇に店内パンフレットが設置してあると思うのですが、あれを補充します。
もちろん店員はエレベーターの使用が許可されていないので、階段で回ります。
結構な早歩きでないと時間内に回れないため、体力を使います。

遺失物管理

店内の遺失物の管理も大切な仕事。

傘、貴重品、買ったばかりの商品など様々なものが届き、
またその持ち主から連絡がくるので警察の指導に乗っ取った形で対応していきます。

お客様の付き添い

前もって依頼があった際に重要なお客様を指定の場所までご案内したり、目が不自由な方のお買い物に付き添ったりしました。お手伝いが必要なお客様へ対応はすぐにできるように、車いすの操作方法や目の不自由な方の案内に仕方を日頃から訓練されていました。

また私の場合、英語が必要になった際に売り場を跨いで接客にあたっていました。

その他

稀にクレーム対応もありますが、多くの場合は売る場に引き継ぎます。
良くも悪くも窓口です。

一日のスケジュール

【早番】
9:00 出社
全員揃ったところで、開店前の店舗内を巡回し、
季節の商品等をチェックしながらインフォメーションカウンターまで移動します。
カウンター周辺を掃除し、開店準備。

9:40 朝礼

9:55 開店のご挨拶
正面玄関にて開店のご挨拶。
本日の営業時間、催事内容をお伝えします。

10:00 開店
お客様をお出迎え

11:00 インフォメーションカウンターにてご案内

11:30 遅番出社
ミーティングを行います。

13:00 休憩

14:00 インフォメーションカウンターにてご案内

15:00 全館パンフレット補充

16:00 インフォメーションカウンターにてご案内

17:30 退社

【遅番】
11:00 出社

11:30 早番とミーティング
ミーティングでは引継ぎの他に接客技術向上のためロールプレイングや、知識共有を実施。

12:00 全館パンフレット補充

13:00 インフォメーションカウンターにてご案内

14:00 休憩

15:00 インフォメーションカウンターにてご案内

16:00 店内見学
新商品や期間限定店舗の確認。

17:00 インフォメーションカウンターにてご案内

18:40 閉店準備

18:50 閉店のご挨拶
店長、部長陣と並んでご挨拶。

19:00 閉店
館内のお客様を最後の一人までお見送りした後、施錠。

19:30 退社

どんな人が向いているのか

上記でもお伝えしましたが、業務内容は多岐にわたります。
その他にも、緊急事態や予期せぬことに遭遇することもありますので、冷静に正確に迅速に対処することが求められます。

体力があり、臨機応変に対応できる力が必要です。

資格はいりませんが、語学など知識があるに越したことはありません。
実際に私が採用される際に候補者がもう一人いたらしいですが、結果採用されたのは英語力とホテル勤務経験があった私でした。
対「人」の仕事で、かつ接客時間はほとんどの場合数秒なので、第一印象も重要です。

もしかしたら、次のこれが一番重要かもしれません。
女社会で生き抜く力。

幸い私の職場は結構サバサバしていましたが、それでもやはり女社会。
うまく乗り切れないと、生きにくいと思います。

タヌメモ

退職理由

やはり年齢が引っかかります。
「何歳まで」と決まっているわけではありませんが、だんだんと制服が似合わなくなってくるのが現実。先輩には、制服は普通の売り場同様の制服を着つつインフォメーションカウンターに在籍する人と事務職へ異動する人がいました。しかし、事務職に異動するのは異例。

将来性が見えなかったので、20代のうちに退職を決めました。

勤務して良かったこと

百貨店の顔として勤務したことは、私にとって非常に良い経験となりました。
この経験はなにごとにも代え難く、貴重で、誇りでもあります。人として成長できました。

上司、先輩方は言うまでもなく厳しかったです。
でもいじわるではなく、百貨店の顔として立たせるために育ててくれているのだとわかっていたからついていけました。

同じ問い合わせ内容でもビジネスパーソンと高齢者では話すスピードや対応方法がことなることから始まり、「目配り、気配りに加えて、心配り」をすることを教えられました。

百貨店では季節行事や冠婚葬祭について問われることもあります。
専門の売り場もありますが、基礎知識は必要です。

これらのことは、辞めた後もしっかりと自分の財産になっています。
ここで教育された振る舞いと教養は、今でも自分を助けてくれています。

出会った人たちのおかげではありますが、
あのような職場だからあのような人たちに出会えたのだなと思います。
決して楽な仕事ではなかったし、長年働いたわけではないけれど、自分の中ではとても有意義で経験値のあがった期間でした。

今後、AIなどが次々と進出する中で、店内案内という仕事はなくなっていってしまうかもしれません。
現に、似た職業であるエレベーターガールを見ることは今では珍しくなっています。
しかしながら、経験出来ればこれは人として成長できる価値のある仕事だと思いました。

タイトルとURLをコピーしました