学校といえば、世界中どこも同じような仕組みだと思いませんか?
ちょっと覗いてみると、国によって特色があることがわります。
実際に働いてみると、全く異なる文化だということがわかります。
私は約一年間、マレー系の公立学校で勤務をしていました。
日本人は私一人。そんな環境の中で受けたカルチャーショックのおはなしです。

目次から、気になるトピックを選択してみてくださいね!
多民族国家を反映した学校
多民族系のマレーシアには公立学校の他に、中華系、インド系の宗派に分かれた学校が存在します。
公立学校はほとんどマレー系の生徒が占めます。
実際に私の勤務先の学校は
マレー系約80%、インド系約10%、中華系約7%、その他民族約3%
という構成でした。
私立のマレー系学校もあり、ほとんど100%マレー系の生徒で構成されています。
共学、男子校、女子高が存在します。
中華系、インド系の学校も私立で、そこにマレー系の学生が入ることはほとんどありません。
5年制
マレーシアでは、小学校の次は中等学校に進みます。
中等学校は5年制です。
日本でいう中高一貫校を想像してもらうといいかもしれません。
13歳から17歳になる年齢の学生が通います。
1月スタート
日本の新学期は4月スタートですね。
海外では9月スタートが多く、日本でも検討がされました。
マレーシアにおいては、どちらでもなく1月スタートが多いです。
新年と当時に新しい学年も始まります。
全寮制と全日制

公立と私立、
そして私立は民族別の学校があることを先に説明しましたが、
さらに全寮制と全日制にわかれます。
全寮制の生徒は寮生活をしています。
厳しい規律のある学校生活で、比較的偏差値が高い印象です。
寮生活ではスマートフォンの持ち込みが禁止されているので、長期休暇や決まった週末に家に帰ると、皆SNSや買い物を楽しみます。
全日制の学校は、毎日家から学校へ通います。
学校へは自分で通う生徒、親に送ってもらう生徒、スクールバスを使う生徒がいます。
SNSの制限も、週末の制限もないので自由度が高いせいか、全寮制の生徒より比較的大人びた印象を受けました。
しかし全日制の学校にも寮はあり、一部の生徒は寮生活をしています。
寮に空きがでれば、学年の途中から寮生活に切り替える生徒もいました。
寮生活は規律がありますが、友達との共同生活は、それはそれで楽しそうでした。
バイク通学をする生徒
マレーシアでは日本同様に16歳からバイクの免許が取れます。
そしてバイク通学が許可されています。
しかし、日本よりも危ない運転をすることの多いマレーシア。
(街中では頻繁に交通事故をみますし、実際に私も短い間に2回巻き込まれました。)
非常に残念なことに、バイクの交通事故で命を落とす生徒が少なからずいます。
朝がとても早い
マレーシアの学校は、午前の部と午後の部に分かれます。
日本の学校のように全校生徒が8:30に投稿して午後に帰宅するのではなく、
午前の部の生徒は朝7:00頃から授業が始まりお昼頃には下校、
入れ代わりで午後の部の生徒たちが登校してきます。
同等に先生たちも、午前の先生と午後の先生にわかれています。
ちなみに私は午後の先生だったので、11:00くらいのゆったり出社でした。
イスラム教は1日5回の礼拝を行いますが、1
回目の礼拝は夜明けに始まるので彼らにとって7:00はもはや早朝ではないのかもしれません。
州によってお休みが異なる
マレーシアも週休二日制です。
ほとんどの州は、世界基準に合わせて土日休みです。
しかし金曜日はイスラム教にとって大切なお祈りがあることから、
州によっては金土休みとなっています。
音楽室と体育館がない
日本の学校では当たり前にある音楽室が、多くの学校でありません。
楽器もなければ、ピアノもありません。
さらに日本ではピアノは音楽室と体育館にあることがほとんどですが、
そもそも体育館がない場合も珍しくありません。
私のいた学校がまさに体育館のない学校で、
中庭に屋根が付いていて体育館の代わりを果たしていました。
全校集会や、雨の日の体育は中庭で行われます。
よく歌う

マレーシア人は歌が好きです。
週のはじめの全校集会では、国家と校歌と月替わりの一曲、計3曲くらい歌っていました。
日本の学校では国家と校歌を歌うのは、入学式と卒業式、そして学期末くらいしかないですよね。
また、音楽の授業はありませんがコーラルスピーキング(Choral Speeking)があります。
コーラルスピーキングとは合唱にストーリーが付いたようなもので、クラス一丸となって取り組みます。
言葉で説明するのは難しいのですが、劇のようにストーリーが組み立てられ表現豊かで、指揮者の合図でミュージカルのようにスピーチが進みます。
実際に鑑賞すると、迫力と一体感に鳥肌が立ちます。
英語力 第2位
マレーシアの英語力はシンガポールに次いで、アジア第2位です。
とはいえ、彼らも学校で英語を勉強しています。
1年生は勉強し始めたばかりなので、英語での意思疎通はなかなか難しレベルですが
5年生は問題なく英語でコミュニケーションが取れるレベルになります。
素晴らしい!
サラム
授業の終わりには、サラムで挨拶をします。
サラムとはマレー系の丁寧な握手の方法です。
右手で握手をし、生徒は握った先生の手の甲を自分の額につけます。
または、握って離した手を自分の胸元に持っていきます。
イスラム教徒は異性が触れ合うことを禁止しているので、女子生徒とのみ行いますが授業の後には20名ほどの列が毎回できます。
こちらも一人一人に「ありがとう」を伝えて授業が終わります。
先生の日

年に一度、ハリグル(Hari Guru)という「先生の日」があります。
ひとつの学校行事で先生に感謝を伝える日なのですが、祭りのような一日です。
まず先生たちは毎年学校ごとにドレスコードが決められます。
色の指定であったり、デザインであったり学校それぞれです。
当日は、先生たちの集合写真撮影に始まり
生徒からの歌や踊りの出し物、贈り物贈呈、そして食事会が用意されています。
各々お世話になっている先生に個別に贈り物を渡してくれる生徒もいるので、まるで誕生日かのような量の贈り物をもらいます。
IGが大人気
IGとはInstagramのこと。
マレーシアの生徒はInstagramが大好きでした。
そして先生と生徒がSNSで繋がることも普通のことでした。
私もたくさんの生徒とSNSで購入しましたが、
いかんせん私生活を曝け出すことになりかねないので配慮が必要でした。
先生同士の交際オープン
「○○先生と○○先生が付き合っている」ということを生徒たちは知っています。
というのも、当人の先生同士が隠していないから。
行事のときなどは、親切にも生徒たちが交際中の先生のツーショットを撮影してあげてまいます。
そして囃し立てられる先生たちも、まんざらでもないご様子。
生徒同士の交際は禁止
先生同士の交際がオープンなのに対し、生徒同士の交際は禁じられている学校が多いようです。
とはいえ、思春期の学生たちですから恋心のひとつやふたつ芽生えます。
付き合っている生徒たちは、先生たちに見つからないようにしていました。
学校側が禁止する理由は、単純に「学業が疎かになるから」ということらしいです。
厳しい学校では交際が発覚した生徒たちは全校集会の時に前へ呼び出され、皆の前で注意を受ける罰則があると聞きました。
スクールバスの時間が変
全日制の学校にはスクールバスで毎日通学する生徒がいますが、
そのスクールバスの時間設定が変です。
なんと、スクールバス到着の時間が授業開始に間に合っていません。
そのため、私の授業でもかなり出席率の悪いコマがありました。
職員会議の時間が変
スクールバス同様に、毎週開かれる職員会議の時間設定も変です。
思い切り授業に被った時間に行われます。
おそらく必修授業に被ってはおらず選択授業が潰されるのですが、選択授業の先生としてはなんともやるせない気持ちになります。
ユニフォームの日

週に一度「ユニフォームの日」があります。
通常は学校の制服ですが、この日はマレーシアの職業の制服を着ます。
種類は、「警察」「看護師」「軍隊」などの種類があります。
日本では学校指定の服といえば、普段着る制服と学校ジャージくらいですよね。
マレーシアの学校は制服、学校ジャージ、上記のユニフォームに加えて他にもあります。
マレーシアの民族衣装であるバジュクロンは学校ごとにオリジナルのデザインで仕立てますし、成績優良者は学校指定ジャケットを羽織っています。
日によって変わる制服。
ひとりだけ間違えて着てきてしまったりしたら、かなり目立ちます。
いつも間違えずに、素晴らしいなあと眺めていました。
全員必須のセンター試験
5年生の全員が受けなければならないSPM(Sijil Pelajaran Malaysia)という大きな試験があります。
日本でいうセンター試験に近い存在です。
この卒業試験で、今後の進路が決まる重要な試験です。
SPMが近づくと5年生は勉強漬け。
私も夜の8時から生徒に特別授業を依頼されて、対応しました。
集団パニック
かなり稀ですが、生徒間で集団パニックが起こることがあります。
これはマレー系にしか起こりません。
「悪魔に憑りつかる」ことによって泣き叫んだり、普段ではしないような行動をとったりします。
教員がイスラム教の聖典コーランを読むことで、解放させることができるそうです。
数年前には教師も含めた学校全体が襲われ、学校が閉鎖される事態となりニュースになったこともありました。
まとめ
マレーシアの学校生活におけるカルチャーショック、いかがでしたでしょうか。
「学校生活」とはいえ、国によって多くの違いがあることがわかるかと思います。
現地の子どもたちが通う学校はなかなか踏み入れることのない場所ですので、
少しでもマレーシアの学校のイメージが伝われば幸いです。
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