「ハラル(ハラール)」はご存知ですか。
イスラム教徒(ムスリム)にとって、とても重要な言葉。
ハラルとは一体、どんなものなのか。
具体例や体験談を交えながら、ハラルの基礎知識、その他、注意点などをまとめます。
ハラルとは
ハラルマーク
百聞は一見に如かず、ということで始めにハラルマークをお見せします。
これらがハラルマーク。
国によって色々なデザインがあります。使われているのはアラビア語です。
実際に見たことは、あるでしょうか?
見たことがある人は、どこで見ましたか?何に表示されていましたか?
ハラルって何?
ハラルとは、イスラム法で「許された物・事」を指します。
一番目にするのはハラルマークの付いた食品ですが、ハラルは食品に限らず、「物」や「事」も含まれます。
反対語はハラム(ハラーム)と言い、「やってはいけない物・事(禁止)」という意味です。
ノンハラルという場合もあります。
イスラム法において、合法なもの・ことがハラル、非合法なもの・ことがハラムということになります。
基準
世界的に統一された基準はありません。
各国の認証機関によって制度が異なるためで、宗派や地域、個人によって解釈が異なります。
実際に私が出会ったムスリムの中でも、異なっていました。
ハラルマークが付いていなくても、自分の目で原材料を確認して問題がなければ食べる人もいますし、ハラルマークが付いていなければ絶対に食べない人もいます。
ハラルとハラムの具体例
ハラム(やってはいけない物・事)
- 豚
- 酒
- 死んだ動物の肉、イスラムの方式にしたがって屠殺されなかった動物の食肉
- 血液
- 牙や爪のある動物(犬・虎・猫)
- 他にもキツツキ、ロバ、ラバなど
特に食肉は、これらに該当しないものであっても屠殺の方法が決まっており、その規律に従ったものでなければハラムのため食べられません。
食肉の他、加工品や化粧品の原材料にハラルではない成分(ポークエキス、ゼラチン、豚脂など)が含まれていると食べたり、利用したりすることができません。
単純に材料表示だけを見て判断することが出来ないため、ハラルの表示が必要となります。
豚肉を切った包丁やまな板もNG。また、豚毛のブラシもハラムとなります。
ハラル(許された物・事)
- 野菜
- 果物
- 魚
- 卵
- 牛乳
- その他イスラムの方式にしたがって屠殺された動物の食肉など
タヌメモ
悲劇の実話
最後に、私が聞いた実際にあった話を。
昔々あるところに、海外から日本語を学びに来た留学生がいました。
日本での暮らしはホームステイ。滞在先の一家はとても親切にしてくださったそうです。
毎日のご飯はその家のお母さんが作ってくれます。
しかし彼にはどうしても食べられないものがありました。
ある日の夕食、いつものようにお母さんが作ってくれたごはんを食べると・・・
「あら、食べられたじゃない!」と嬉しそうな声をあげたお母さん。
彼が前もって食べられないと伝えていた食材を、入っているのがわからないように細かくして入れ込んだのです。子どもの好き嫌いを克服させるように。
お互いのコミュニケーション不足が不幸を呼んだわけですが、彼がその食材を食べられないのは好き嫌いの問題ではありません。
信仰している宗教上の理由で食べられなかったのです。
嬉しそうなホストファミリーに反して、青ざめる留学生。
彼からしてみれば、これまで真面目に信仰してきたのに、この一口で自分は穢れてしまった、神への冒涜にも等しいのです。
多くが無宗教である日本人にとってはわかりにくい感覚かもしれませんが、本当に取り返しのつかないことが起きてしまったのです。
その後、彼がどうなってしまったかというと、心を病み、入退院を繰り返しているそうです。
良かれと思った行動が、一人の人生を台無しにしてしまった悲劇的な実話。
イスラム教徒に限らず、宗教によっては食べてはいけないものが存在します。
知っていることは、とても大切なことです。
国際化が進む昨今、自分たち自身のことだけではなく、他社や多文化への理解がとても重要です。
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