東南アジアに位置するマレーシア。
パッとどこに位置するか頭に浮かべられる人は多くないかもしれません。
タヌキも渡馬が決まるまで正確な位置は把握しおりませんでした。
しかし実際に暮らしてみて、多文化の入り混じる非常に面白いこの国に魅了されました。
これはもっとマレーシアの魅力を知ってほしいと思い、基本情報と併せて日本語教育事情にも少し触れながらご紹介します。
位置情報
ここです。
左側がマレー半島、右側がボルネオ島です。
ボルネオ島はマレーシア、インドネシア、ブルネイの三ヵ国で構成されています。
首都はクアラルンプール。
ランドマークとしてツインタワーがあり、タワー1は日本の建設会社が設立。
近隣国はタイ、インドネシア、ブルネイと陸上の国境線が接しており、海の向こう側にシンガポールとフィリピンが近接しています。
シンガポールは1965年まではマレーシアの一部であったこともあり、
文化が非常に似ておりよく間違えられますが、マーライオンが居るのはシンガポールです。
多くの日本企業も進出していて、マレーシアに住んでいる日本人も少なくありません。
気候も一年を通して大きな変動がなく物価が安くて暮らしやすいため、近年では海外移住先としても注目され人気を集めています。
日本からは直行便で約7時間。
深夜便で日本を出て、時間を有効的に活用して旅行することも可能です。
民族
マレーシアは多民族国家です。
多民族国家とは複数の民族から構成される国家のことで、
対義語は単一民族国家といいます。日本は後者です。
マレー半島は主に3民族で構成され大半はマレー系が占め、
その他に中華系とインド系の人たちが暮らしています。
また、離島のボルネオ島ではマレー半島と異なり原住民が大半を占め、イバン族、ビダユ族など現在も非常に多くの民族が暮らしています。
多民族であれば多文化。
様々な文化が共存し、またそこから新しい文化が生まれ成り立っているマレーシアは非常に興味深い国です。
言語
公用語はマレー語。
しかしながら多民族国家であるために、中華系は中国語を話し、インド系はタミル語を母語としていることが多いです。
そこで共通言語として英語が使われますが、
マレー系の人たちには英語がほとんど通じないこともしばしば。
中華系とインド系の人たちには大抵英語も通じます。
また、マレー語は日本人にとってとても習得しやすい言語とも言われています。
というのも、マレー語は英語と同じくアルファベットで表記します。
アルファベットは多くの日本人も習得している文字かと思います。
さらに、発音が簡単。
多くの場合、書かれたアルファベットをローマ字読みすれば大丈夫です。
単語も、非常に簡単なものも多く日本人にとってすでに聞きなれた単語もあります。
例えばJalan(ジャラン)は「道」という意味ですが、これを繰り返すとJalan Jalan(ジャラン ジャラン)で「散歩」という意味になります。
「どういたしまして」はSama sama(サマサマ)。
Guru(グル)は「先生」という意味で、Guru guru(グルグル)と二回続けることによって「先生方」という複数形の意味になります。
方言等があるため人や地域によって異なりますが、
マレー語とインドネシア語は60~90%同じと言われている似た言語です。
文法は同じですし、同じ単語も多々あるのでマレー語を習得することによってインドネシアの方ともコミュニケーションがとれるようになるのです。
日本人にとって習得しやすいうえに、マレーシアをはじめインドネシア、シンガポールの人たちとも意思疎通ができるお得な言語!コミュニケーションをとれる人口数がぐぐーんと増えることを想像すると、なんとも夢のある言語だと思いませんか。
マレーシアにおける日本語教育
中等学校
マレーシアでの日本語教育は戦中の日本統治時代から行われていました。
現在では中等学校(日本でいう中学生から高校生の年齢の子が通う5年生の学校)にて、選択科目として日本語が加えられています。
中には、日本語クラブのある学校もあり様々な日本文化の活動が行われています。
しなしながら、レベルは高いとは言えません。
まず日本人にとってマレー語が習得しやすいのとは裏腹に、マレーシア人にとって日本語は非常に難しい言語です。
選択科目として日本語を選択した学生は平仮名を覚えることから始まりますが、やっと50音覚えたところでカタカナと漢字が加えられていきます。馴染みのない文字を覚える苦労は想像に容易いですね。
また、日本と全く異なる教育環境にも驚きます。
教科書は学校のもの。
学年の始めに一人一冊与えられ、進級時に返却します。
前学年が使ったものを順番にまわすので、書き込み(されている教科書もありますが)等はNG。復習をするときは自分のノートが頼りです。
マレーシアの中等学校には2パターンあり、
寮生活をする全寮制の学校と、自宅から通う全日制の学校があります。
全日制の学校はスクールバスで通う生徒も多い中、なぜかスクールバスの到着が授業に間に合わない時刻設定だったりします。
あくまで選択授業であることもあり軽視されているのか、簡単に授業が削られてしまうこともしばしば・・・
そんな具合ですので、学年があがるにつれて日本語を学習する生徒が減っていってしまうのが現状です。
大学
国立大学20校のうち、16校で日本語教育が実施されています。
その中でも日本語専攻があるのは、
Universiti Malaya(UM、マラヤ大学)の言語学部のみです。
上記より、マレーシアの日本語学習者は年齢があがるにつれて減少傾向にあります。
民間やボランティアでも日本語教育が行われていますが、ほとんどが初級レベルの授業を行っておりレベルは高くありません。
しかしながら、だからこそマレーシアの日本語学習者に対しては感謝に似た念を覚えます。
遠く離れ、おそらく行ったこともない国(日本)の、決して簡単ではない言語を学ぼうとしてくれた姿勢がとても嬉しいです。
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