これは臨床心理士である、みたらし加奈さんが綴った本。
初版の帯からは「あなたは今、何に悩んでいますか?」と問われる。
私はこの本を読んで、全日本国民に読んでほしいと思った。
目を背けてはいけない問題が書かれている。
それは他人事の様で、自分のことであったりする。
読んで、想像して、理解して、考える、良いきっかけをくれる一冊。
マインドトークを読む人が増えれば増えるほど、日本という国にもっと明るい未来が見出せるのではないかと期待せずにはいられない。
そして既に読んだ私は、良い未来作りに加担する一人でありたい。
著者「みたらし加奈」とは
臨床心理士である、みたらし加奈さん。
臨床心理士という顔の他に、様々なソーシャルメディアで発信し、いろいろな顔を見せてくれる。
例えば、Youtubeはパートナーの美樹さんと「わがしチャンネル」で日常を発信している。
二人の日常からは幸せが溢れていて、見ているこちらも幸せになる。
愛し合い、支えあう二人はまさに理想的とも言える。
例えば、ひとつのTwitterアカウントである「ぽじでぃぶうぇ~ぶ」では、あえて敬語を使わずにゆる~く前向きなつぶやきをしていたりする。
マインドトークあらすじ
本書では、みたらし加奈さんのこれまでの人生を振り返りつつ、LGBTQ+、ジェンダーギャップ、家族、友達、パートナーなどの人間関係と向き合っている。愛や政治にまで触れられた内容。
みたらし加奈さんは臨床心理士でもあるので「ザイオンス効果」「イマジナリーフレンド」「カインコンプレックス」「解離症状」など、時折、心理学用語を交えて具体例を示しながら話は進んでいく。
専門用語を用いながらも、読者にわかりやすく心の状態を教えてくれる文章であり、そういった面でも勉強になる。
専門用語は知らなかったけれど、この心境や現象は知っている、というように。
What is most personal is most general.
(最も個人的なことは、もっとも一般的なことである。)
カール・ロジャーズの言葉からはじまるマインドトークは5章からなっている。
1章:変えたい
2章:愛されたい
3章:変わりたい
4章:知りたい
5章:愛したい
加えて、お悩み相談としてQ&A
最期に「あなたのマインドトーク」として、自分の心と向き合う書き込みの出来るページが用意されている。
タヌメモ
以前より私は、Youtubeを視聴している「あまとう」の一人でした。
「あまとう」とは、みたらし加奈さんとパートナーの美樹さんのYoutubeのファンネームです。
でも帯に書かれた問いに対して、とくに答えを持ち合わせていなかった私は本書を読むことを先送りにしていました。
もちろん悩みはあれど、深刻な悩みは抱えていなかったから。
でもそういう問題ではなかったのです。
マインドトークを手に取ったのは、たまたま。
たまたま本屋があって、たまたま目に留まって、やっぱり気にはなっていたので手に取って、パラパラとページをめくった時に、たまたま目に入った言葉に全身鳥肌が立ちました。
『「女性」ではなく「美樹」だった。』
この時、たまたま私はパートナーのキツネ氏と一緒に居て、二人で鳥肌が立ちました。
まさに私も同じだったから。
私には、「女性」ではなく「キツネ」だった。
そのことをずっと想ってきたから、ここでその言葉を見て痛く共感しました。
本書では、そういう場面が多々ありました。
いままで心のどこかで、ずっとモヤモヤしていたものが言語化されていて、腑に落ちるというか。
場合によっては「では、これからどう行動しようか」と考えさせられました。
きっと読んだら一か所はハッとさせられ、きっと一か所は自分と被るところがあるはずです。
加奈さんの話を読んでいるようであって、不思議と自分と向き合う時間になります。
救われる人も多いはずです。
心のこと、生のこと、性のこと・・・
読んで、想像して(過去を振り返って)、考える、そのきっかけになる一冊。
ぜひ多くの方に手に取ってほしい一冊。