最後の3週間の始まり
それは突然の連絡でした。
2022年6月27日 11時08分
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りくちゃんおとといまで変わらず元気だったのに昨日の夕方から吐き出した。
大好きな晩御飯も食べられずに、吐きたいけど吐くものがなくて辛そうだった。
夜はほとんど一睡もせず10秒おきくらいにワオンと吠え続け、家の中を徘徊しては吐くものないけどゲコゲコ苦しそうに。
ようやく4時頃疲れ果てて眠りについた。
9時半診療の30分前に病院に連れて行った時にはぐったり脱力状態で、血液検査をしてもらったら加齢による多臓器不全と心臓機能の低下。
それによる脳梗塞の疑いと脳梗塞からくる神経障害で無駄吠えや眼球振盪からくるめまいによる吐き気、肝機能障害腎機能障害免疫不全 等々引き起こしていろと推測され、今日明日が山場と言われて帰ってきました。
言うなれば危篤の状態です。
今はクッションにおろした状態のままピクリとも動かず眠っています。
と。
この連絡を見た時私は、仕事がひと段落してホッとお昼休みを食べようとしていたところでしたが、穏やかな気持ちも一変。
世の中は何も変わっていないのに、私は闇に包まれた様な気持ちになりました。
リクがいなくなる。
受け入れ難い現実が、突如目の前にやってきました。
受け入れなきゃいけない、でも受け入れられない、その葛藤。
翌日は午後休をとって実家に向かうことにするも、母から「もしかしたら今夜かも」と連絡があり、とにかく夜を越してくれることを祈り、急遽仕事を休んで朝から向かうことに。
翌朝の私の目は、人生で初めて目が開かないほどの腫れようです。
実家につくと、リクは大人しく寝てました。
午後は病院へ付き添い。
その時には状態を上げることもできるように。
しかも病院で診てもらうと、診察台でしっかり立つ!これには先生もびっくり。
昨日は立つことはもちろん無理で、目も焦点が合わず虚ろだったとか。
たしかに今日は、しっかり目が会う。
それでも病院嫌いなので疲れたのか、帰る頃には薬も効いてぐっすり。
家に着いたあとは、水を飲んだりトイレに行きたい時には自分で立ち上がるようにはなりました。
とはいえ、ずっと立っていることは出来ず。
20秒くらいすると後脚の力がヘニャヘニャと抜けてしまいます。
もうどんな治療をしても、少し前までのような状態には戻らない。
その事実が痛いほどに辛い。
でもこれは私たち人の気持ちで、リクは懸命に生きている。
尊いとはこのことだと思った。
ここから3週間の闘病生活が始まります。
リクは十分すぎるほどに、懸命に生きました。
2022年6月29日 07時10分
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昨夜ケージでゴロンと寝ていたりくが、起きて歩き出したのでおしっこさせて。
その後とても目がしっかりとしていたのでチュールをあげてみたら高カロリーのやつ1本食べられたの!
今朝もおしっこの後あげてみたら少しだけ食べた。
しばらくするとまた歩いてきて何か言いたげで、パパが(毎日もらう)卵焼きじゃないか?
って言うからあげてみたらスゴい食いつき様でビックリ!
昨日より更に快方に向かってる感じだよ。
2022年6月30日 11時33分
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今、動物病院から帰ってきました。
行きの車中、頭をあげていられて、帰りは家までお座りしていたよ。
今朝また少し泡を吐いて、まだご飯らしいご飯は食べられていないけど、それでもとても元気。今日も注射2本と点滴をしてもらったから午後にはもっと元気になって夜にはまたお肉を食べてくれると期待しています。
おしっこがすごく黄色いのは肝臓が悪いからだそうです。
食事がとれるようになればお薬で改善が見込めるとのことです。
その日の夕方には、母からまた驚きの動画が。
ヒレ肉にがっつくリク!
4本足でしっかり立ってます。
2022年7月1日週末にはまた実家へ。
しかしこの日は前回会った時よりも元気がなく…
唯一、手土産で持って行ったモロゾフだけ食べてくれました。
2022年7月4日 20時42分
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リクちゃん夜も少しだけどヒレ肉食べました。
もともと丈夫な子だけど「本当に丈夫だよね」ってパパと感心してる!
このまま急変しなければ三連休も迎えられそうだね。
2022年7月6日
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今日のリク。
朝昼晩としっかりお肉を食べました!
今のところ今日は一度も吐いていません!
そしておしっこの色が少し薄くなってきたように感じます。
元気になってるかもって感じ。
しかし・・・
2022年7月7日
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今日のりくちゃんは昨日の元気が嘘のように具合悪いの。
6月27日と同じ様に手も足も首もぐったりなんだ。
苦しそうではないけど。ずっと寝てる。
いつかはお別れが来るからね。覚悟しておかないと。かな。
もし苦しそうなら病院連れてくけど。
また夜にラインするね。
母は心配する私の気持ちを汲んで、こまめに連絡をくれます。
そして夜・・・
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りくちゃん今ご飯あげたらガツガツ食べたよ!
表情はさっきより良くなった感じ。
ここで、驚くほど食べるのだけど便をしなくなります。
これはこれで深刻なのでかなり心配…
2022年7月8日
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立てなくても頭上げるのがやっとでも今日もヒレ肉ご飯バクバク食べるの。
たぶん立てないから出せないのかなと。
先生はいよいよ出なければカンチョウすれば大丈夫って。
ビオフェルミンはあげてるんだけどな。
なんとか出ないかな。
動物病院の先生曰く、便秘はそれほど心配ないとのこと・・・
と、言われてもGoogle検索で「老犬 便秘」と調べれば、心配なことばかり。
そこへ母から再び連絡。
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急に立ちたがったから、お水飲みたいのかと思ったらいきみ出した。
パパと二人がかりで立たせてハァハァ言うほど頑張ったよ!
おめでとうーーー!!!
2022年7月9日
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今日の報告はどうしようかと考えてしまうほどの状態です。
朝からご飯食べず。
足とお尻だけ洗っだけど元気なく。
疲れたのかよく寝てるもののご飯は食べず。
夜になればいい報告が出来るかと思っていましたがやはり何も食べず元気なく。
なんとか立たせておしっこはできます。
水も飲めます。
体調悪そうですが苦しそうな表情には見えません。
もう頑張らなくていいよっていう感じ・・・
2022年7月10日
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今日は昨日の延長なの。
目を開けてることもあるけどずっと寝ています。
水はなんとか飲むけどご飯は食べず。
頭を持ち上げることも殆どしなくなりました。
せめてもの救いは穏やかにスヤスヤ寝てくれてること。
昨日は明け方吐いたけど今日はそれもなくただ静かに眠っています。
なぜか寝てるのにシッポだけたまにユサユサして和ませてくれます。
2022年7月11日
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昨日と変わらず今日も何も食べないよ、水は飲むけど。
今日もずっと寝てるんだ。
少しずつ弱っていくよね。
かわいそうだけど見守るしかないなぁ・・・
ご飯食べなくなって3日目。
水も前ほど飲まなくなってきて。
さすがに痩せてきたよ。
金曜までもったら奇跡かも。
このあたりで、脳梗塞を起こしてから二週間が経ちました。
次の土日に帰る予定でしたが、遅くなるけど金曜日の夜に帰ることに。
しかしこれほど一週間が長く感じたことはありません。
じりじりと金曜日が近づいているのと同時に、リクの命もじりじりと減っていくように感じられてなりませんでした。
2022年7月12日
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りくちゃんは今日も水だけで頑張っています。
本当に強い子です。
でも涼しい顔してるのよ。
お腹すいたって感覚はないんだろうな。
金曜の朝6:00に食べたのが最後のご飯だからもう丸四日食べてないの。
2022年7月13日
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だんだん水も飲まなくなってきました。
気のせいかもしれないけど水を飲むとその後吐くことが多い気がするよ。
今朝6時におしっこして水も飲んだけどその後は夕方5時までトイレも水もなし5時に水をしっかり飲んだと思ったらその後飲んだ量くらい吐いちゃった。
おしっこは何度か連れてくんだけどもう一滴も出ないみたい。
こんな状態でよく頑張ってると思うよ。
リクは本当に強い!
2022年7月14日
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リクちゃん昨日の夜からまた吐くようになってしまい、そしてとうとう水も飲まなくなってオシッコも出なくなり、今日は病院に連れて行きました。
点滴と注射をしてもらいそれでも3時頃まで吐いていたけど、4時過ぎにようやく落ち着いて今眠っています。
水を飲まなくておしっこも出なくなったのは腎臓の機能が悪化して腎不全を起こしているからではないかとのこと。
放っておけば尿毒症で2〜3日で死ぬそうです。
でもこれは苦しむと言われ緩和ケアをお願いしました。
明日も行きます。
なので金曜まで頑張れそうです。
私のことも気遣いながら、細かに連絡をくれる母。
睡眠も削って、今回ばかりはリクと一緒の部屋で夜も過ごしてくれました。
母は、これはリクのためであるけれど、同時に自分のためでもあると言いました。
どこまで看病をするかは飼い主次第。
だとしたら、後悔の無いように自分ができること全てをしようと努めてくれました。
頭が下がります。
そして、やっと訪れた金曜日・・・
最後の3日間
7月15日
母よりいよいよ弱ってきましたとの連絡。
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急変です。
今日、都内から娘が帰ってくるんですって言ったら何時って聞かれた。
夜になるって言ったらう〜んて言ってた。
今は注射でぐっすり眠れてる。
たぶんリクは頑張ってくれると思うけど、前回の危篤より深刻な状態なの。
一進一退の毎日。「退」の方が徐々に優勢に。
仕事が定時を迎えた瞬間に、全力で走りました。
そして、間に合いました。
最後会いに行った時は、一週間以上飲まず食わずだったので驚くほど痩せていました。
見た目にはふわふわの毛でわからないけれど、触れるとすぐに骨。
しっかり健康的だった腿もガリガリで、骨ばっていました。
寝ていてくれれば安心なのですが、薬が切れるのかたまに起きては苦しそうに鳴きます。
でももう声もカスカスで出ないのです。
本当に見ているのが辛かったです。
もう「がんばれ」とは言えない状態。
もう十分にがんばってくれたのです。
あとはどうか苦しまないようにと願うばかり。
一方でリクはどうだったでしょうか。
動物には「死」といった概念がないとも聞きました。
だから命尽きるその瞬間まで、懸命にただただ生きる。
だとしたら、辛いけれど決して目を背けないように。
そして「死」という概念がないのなら、私たちが悲し顔をしている理由もわからないでしょう。
できる限り普段の顔を見せようと必死に見守りました。
亡くなる直前に起きた不思議なお話
他の犬もそうなのか知らないけれど、リクが散歩に行った後の独特な香りがある。
草のにおいというか…
ここからは、リクが旅立つ前の不思議なお話。
2022年7月17日の出来事。
19:00
ずっと目を開けているけれど、意識はあるのかないのかわからない様子。
普段はほとんど寝ているので、こんなに長時間起きてるのは不自然だし、瞬きをちゃんとしていなかったので今思えば意識はほとんどなかったのだと思う。
痙攣なのか後脚を何度も蹴り、尻尾も喜んでいる時みたいにふりふりを繰り返す。
21:20
父に野暮用ができる。
徒歩往復10分くらいで済む
本当にどうでもいい用事なのだけれど、リクは私がみてるから母と二人で行くように促す。
今までこんなことってない。
21:30
父母、帰宅。
二人がリビングに入って来た瞬間、あのにおい!
思わず「犬くさっ!!!どこ歩いて来たの?」と。
父と母も私に言われてにおいに気がつく。
もはや異臭騒ぎ。
21:35
翌日仕事なのでもう寝るという父。
リクに「おやすみ」を言わなかったので、執拗に「リクにおやすみして」と呼び戻す。
その時のリクは不自然なくらい静かで穏やかな呼吸になっていたので、なんとなく今夜がお別れかなと感じていて、ちゃんと声かけといてほしかったのが私の気持ち。
そして「おやすみ」をして寝室へ向かう父を慌てて再び呼び戻すことになる。
21:40
ほんの何秒か苦しそうにしたけれど、母父私がリクの側に揃って触れた瞬間にすっと旅立った。
その時にはもう父と母からお散歩後の犬のにおいは全くしなくなっていて。
父は「あ、(自分の)汗のにおいがする!」とか素で言ってて。ふざけてんのかな?
都合の良い解釈かもしれないけれど、後ろ足と尻尾が動いていたのも痙攣ではなかったのかしら。
大好きな父と、昼夜問わずずっと世話をしてくれた母と、一緒に最後のお散歩に出掛けて・・・
おうちに帰ってきた時に体に戻って旅立ったのかなと思わずにはいられない出来事でした。
空気を読む犬
あまり犬らしくない自由気ままな犬だと思ったけれど、最後はとことん空気を読む犬でした。
- 脳梗塞で倒れてから食事もままならなくなったが、手土産のモロゾフのプリンは急に食べた。
- 最後の金曜日に意識を失い、全身痙攣を起こして母ももう駄目かと思ったがたまたま動物病院で呼ばれる直前だったので一命をとりとめた。
おかげで先生も私が帰省する夜までもたないかもと言われたが、丸々二日一緒に過ごせた。 - 亡くなる時間が少しでもずれていたら、父と母は外出していたかもしれないし、父は就寝していたかもしれないし、私も寝る支度をしていたかもしれない。
ちょうど三人揃う最後のタイミングだった。 - 火葬場の受付は22時まで。
亡くなるのが21時40分で、そのあと悲しみつつ冷静を取り戻し、閉まる5分前に駆け込みで問い合わせができた。 - 頑張って生きてくれても食べ物はおろか水も飲めない状態が一週間以上続いていたので、翌週末はさすがに会えず、看取ることも最後のお別れもできず心残りだなあ…と思っていたところ。
三連休二日目の夜に亡くなったので、最大限一緒にいられて且つ葬儀にも参列できるスケジュールとなった。 - 翌日は祝日だったので、私はもともと休み。
妹は保育園がやってないので休みをとっており、たまたま妹の旦那も直前で休みにしていたので、甥っ子は預けられることに。
久々に家族が全員シンプルに揃った。
皆に愛されたチワワのりくは、こうして私たちのもとから旅立ちました。
最後の最後まで思い出をありがとう。
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